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「驚異と怪異――想像界の生きものたち」

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国立民族学博物館で開催されている「驚異と怪異――想像界の生きものたち」へ行ってきました。

この展覧会、実は1年半ほど前から開催されることを知っていました。というのも知人デザイナーが、この展覧会の会場デザインと図録のデザインを担当していて、以前から話を聞いていたのです。人間の想像の生き物を集めた内容で、話を聞いたときから楽しみにしていました。

展示の内容は、人魚や天狗、龍、河童、巨人、鳥人といった、世界各地の神事や昔からに言い伝え、不思議な出来事の原因として人が考え出した生き物「幻獣」を集めた展覧会です。

例えば、展示もありテレビでも紹介されたことがある人魚のミイラは、猿の上半身と魚の胴体をつなぎ合わせた「偽物」なのですが、そこに不思議なものを観たいと思う人の好奇心が現れていて、展示物そのものを観つつも、おそらくそれらを本物と信じていた、あるいは信じたいと思う昔の人達の気持ちも想像できる面白い展示ばかりでした。

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そんな昔の人の思いを想像しながら、ふと現代人にも同じ思いがあることに気が付きました。

先の人魚は姿は変われど、昔から世界各地で考えられていました。それは昔の人達にとって、海が未知の世界だったからで、その未知の世界の生物として人魚が考えられていたのです。現代人にとって宇宙は未知の世界で、様々な格好をした宇宙人を想像していますが、それと非常に似ていると感じました。未知な世界に、人の想像を超えた生き物が居ると、人はいつの時代も考えるもなのですね。

ただ、会場入口のパネルにもありましたが、スタンリー・キューブリックの言葉「人は想像もつかないものは、想像できない」に象徴されるように、会場に展示されている幻獣は、人と動物というように何かと何かを組み合わせた生き物ばかりでした。

このことに私はガッカリしたのではなく、人がリアリティを感じるのは、既に存在しているものに似ている部分があるからこそ、本当らしさを感じているのだと気付かされました。

先程の宇宙人の話で例えるなら、もし突拍子もない姿をした宇宙人を考えたとしても、人は「どうやって歩くの?」「どうやって会話するの?」「どうやってエネルギーを補給するの?」といった、常識的なものの見方で検証しようとします。

そして、その検証の仕方は既に身の回りに存在する生物との比較であって、それに当てはまらなければ受け入れられず「絵空事」としてリアリティを感じません。逆に言うと、それらいくつかの条件を含めながら想像するので、既に存在する生物に何かしら似ている「○○ぽい」ものしか想像できないのです。

SF映画でも昔は飛び抜けた未来の世界を描いたものもありましたが、ある時期から「ブレードランナー」のような、現代でも使われている技術や習慣の延長上の世界の方がリアリティを感じます。「見たこと無いもの」が見たいと思いつつも、「納得できるもの」でなければ、人は受け入れることができないのです。

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今回の展覧会は、展示されているものも面白かったですが、上に書いたような考え方の掘り起こしができたような、私にとって刺激ある展覧会でした。