行き過ぎの果てに

ここのところニュースでも取り上げられている、ホテル・百貨店の食品偽装について書こうと思っていたら、楽天セールの二重価格が出てきたので、楽天に出店している立場から書いておきます。

楽天の説明によると事前審査を受けていない商品を、店舗が勝手に陳列したとありました。楽天市場では、半額や今回の星野さんの背番号にちなんだ77%オフのような、極端な値引きを楽天主催のセールと連動して行う場合、その商品は事前に審査を受けなければなりません。価格チェックの目的もありますが、検索結果で絞られる対象にするためでもあります。

「この商品は普段○○円で販売していて、セール期間中は77%オフの○○円で販売します」というのを事前に入力して、それが正しいかどうかを楽天の担当者がチェックをします。

チェックはするのですが、楽天全体で1億5千万点以上の商品があるわけで、それらが普段いくらで販売されているかを把握していて、そこから正しい割引率にになっていると確認できるのかどうか疑問です。事前審査は数日間で数万点の申込があるため、担当者が個々に細かく調べるのは限界があるでしょうから、店舗側の自己申告に限りなく近いと思います。そこは信頼関係ですね。二重価格に関しては、ちょくちょく注意喚起もされています。

それと仕組みとしては、楽天が説明するように審査を受けなくても独自に大幅な割引をして商品を出すことは可能です。たまたま今回は優勝セールの77%オフということで、割引率が判りやすく注目を集めましたが、セール期間中以外でもたまに80%オフとかそれ以上の割引を目にすることはありますからね。楽天セールに連動しない平常時なら審査そのものがないので、今回のようにお客さんから指摘されて気付くことも少なくないでしょう。

また、今回の問題とは別に、セール前になると担当者から半額商品を用意できないかとプッシュもされます。半額商品を目当てに来店してもらって、そこから他の商品も買ってもらう、リピーターになってもらうとのストーリーを語るのです。リアル店舗の店頭ワゴンセールみたいな感じですね。

ですが、ウチも見切り品を半額で出したことがあって、結局はその商品が買われるだけでリピーターにもならず、それ以後は半額セールに参加していません。そのため最近では担当者もプッシュして来なくなりました。

ちなみに半額だろうが、77%オフだろうが削った利益は店舗が被ります。楽天側の負担はないので、赤字になる場合もあります。それでも販売手数料はキッチリ取っていきますからね、だからプッシュしてくるんです。(笑)

今回、極端な二重価格表示をした店舗も本気でその商品を売るつもりはなく、77%オフを目印に来店してもらうためにやったのでしょう。許されることではありませんが、何万店舗もある中から目立とうと行き過ぎたのでしょう。Twitterの悪ふざけのように、ここまで大きな問題になるとは思っていなかったかもしれません。結果、ある意味では目立つことに成功したわけですが。

はじめに書こうと思っていたホテル・百貨店の食品偽装とも近い部分を感じますね。食品偽装にしても、日本人は極端にグルメ志向が強くなっている(ように感じさせる世間の空気があって)、産地にこだわったメニューを記載しないと付加価値を出せない、普通より高い金額が取れないと行き過ぎた判断の結果でしょう。

ところで、将来的にイーグルスの監督が交代して背番号が99番になったら、優勝セールで99%オフとかやるのでしょうか? だとして、どれだけの店舗が参加できるのか…。


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