新年のご挨拶に掲載している、戌イラストの製作記です。あらためて書くほどのことでもないのですが、ネタとして。
年賀状は毎年悩みの種です。デザインの仕事をしていると、デザイナー仲間から毎年、凝ったデザインの年賀状が届くため、こちらとしても何でもないフツーの年賀状では送りづらいのです。
そして、今年は戌年。私は年男でもあるため、オリジナルで作りたい気持ちもありました。
そこで、張り子の戌をモチーフにして、そのままでは面白くないため、今風な張り子としてカラフルなデザインにすることにしました。スプラっぽい、という意見もチラホラありますが…(笑)。
当初は戌の張り子の置物(完成品)を入手して撮影、Photoshop上で加工することを考えていました。ですが、ハンズなどで手頃な張り子を探したものの、シックリ来るものがありません。
店頭の張り子は完成品で、当たり前ですが塗装がされていることもあり、そのままでは利用しづらく、何か別の色を乗せるには、一旦、白のジェッソか絵の具で元の塗装を消すか、Photoshop上で真っ白にする必要があります。となると、塗装や乾燥の下準備だけで手間がかかりそう。重ね塗りが必要なら更に時間がかかります。
そんなこんなで、印刷の時間も踏まえた上で、3Dで作ることにしました。データで作れば、なんとでもなるだろうと。
問題はどのソフトを利用するか。過去に3Dソフトはいくつか触った経験がありますが、さほど仕事に繋がることも無かったため、日常的に使う機会も減って遠のいているからです。ちょっとした立体表現なら、Photoshop、Illustratorで出来ますからね。
私は、昔から「Strata 3D」ユーザーです。でも、正直なところ他の3Dソフトと比べると操作性や出来ることに古さは否めず、特に今回のような有機的なモデリングにベストとは思えません。
何か良いソフトはないかと考えていたところ、そう言えば同じStrataがクラウドで利用できる3Dツールを発表していたことを思い出しました。「Strata Sculpt 3D」というツールで、粘土をこねる感覚でモデリングできるスカルプティングソフトです。インストールなしのブラウザ上で使えるのが有り難い。スカルプティングソフトでメジャーな「ZBrush」に比べると出来ることは限られますが、今回の張り子程度のモデリングなら充分です。
Strata Sculpt 3Dで作成したデータは、OBJ形式で書き出せるため、他の3Dソフトに読み込んで編集が可能です。今回は他の3Dソフトは使わず、Photoshopに読み込んで3D機能を使い、マッピングの編集、レンダリングまですることにしました。
マッピングに使用したインクが飛び散ったイメージは、版権フリーの素材を使用しています。元々インクの色ごとに分かれているのを、何重にも重ね、インクが垂れた部分が下方向へ垂れているように位置・角度の調整をするため、レイヤーを利用しています。
レンダリングもPhotoshopでやりました。年賀状サイズに利用するなら全然問題ありませんが、3Dソフトほどレンダリングの設定が細かくできないため、レイトレーシングでも少し物足りない品質です。3D専用ソフトではないので仕方がないですね。
そんな感じで、レンダリング画像にメッセージを付け加えて完成!
久々に3Dを触り、Strata Sculpt 3Dも初めてでしたが、約2日で出来ました。当初の本物の張り子を白く塗って加工していたら、もっと時間がかかったでしょう。これをきっかけにStrata Sculpt 3Dで、もっと複雑なもののモデリングにもチャレンジしたいです。
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