栓抜きを使おう!蛇口は回そう!

私は自宅で仕事をしていることもあって、よくムスメの宿題や勉強をみています。最近ではテスト勉強もするようになって、私も一緒になってどうすれば理解できるのか、説明に頭を悩ますことが多くなりました。

先日、理科のテスト勉強で「てこ」をやっていました。「支点」「力点」「作用点」てやつですね。私も数十年ぶりで目にしました。

石を棒で動かす「てこ」の基本はムスメも理解しているのですが、形が変わって糸切りバサミや自動車のハンドルの「輪軸」になると、どこが支点、力点なのかややこしいようです。

ムスメの反応を見ていると、仕方がないかもと感じました。というのも私が子供の頃に比べて、実生活で「てこ」の作用を実感することが少ないのです。

例えば、問題では栓抜きが出てきます。わが家にも栓抜きはありますが、実際に使うことは年に一回あるかどうか。昔、瓶だったものは開閉できるキャップになっていたり、ビールも缶で買うのがほとんどです。

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あと、こういった「つり合い」の問題。

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図は完全な実験道具として扱っていて、原理を説明する目的としてはわかるのですが、あくまでも実験道具であって、日常生活との結びつきが感じられないようです。自分とは違う、頭のいい人たちが考えた遠い世界の話みたいな。

私が小さい頃は、栓抜きをはじめ缶切りも釘抜きも日常的に使う機会がありました。他にも、肉屋や魚屋の店頭には天秤タイプの計りがあって、使っていたのを見た覚えがあります。そうやって、実際に自分で使ったり見た経験があれば、学校で改めて勉強した時に「あのときの天秤はこういう仕組みだったのか」と、ストンと納得しやすいです。

今ではそれら道具を使う機会が少なくなり、経験として馴染みがありません。教科書の写真、理科の実験道具としての理解なので、実感ではなく知識として覚えようとするため頭に入りにくいようです。

もちろん今も「てこ」を利用したものは身の回りにたくさんあります。缶詰は缶切りがなくても開けられる「タブ」が多くなりましたが、これも開ける時は「てこ」を利用しています。でも、見逃していて私もムスメの宿題から、そういえばそうだったと気が付きました。

他にも「てこ」を応用した「輪軸」の原理は、昔ながらの水道の蛇口がそうです。今回、蛇口で説明しようと思ったら、わが家の蛇口はほとんどがレバー式でした。上下左右で水量と温度を調整できるので「てこ」も「輪軸」も使われていますが、2つの仕組みが混ざっていることで理解するにはかえってややこしくなります。また、公共の場では電気によるセンサー式が増えて、仕組みそのものが全く変わっています。

勉強や知識と日常生活が、必ずしも一致する必要は無いでしょうが、身の回りのものが便利になって使いやすくなったぶん、仕組みが見えなくなったり別の仕組みに変わることで、実感として物事の理解に繋がりにくくなっているようです。

かといって「栓抜きを使おう!蛇口は回そう!」といった運動は起きないので、頭だけの理解が増えていくのかもしれません。


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