超おススメ!「ソッカの美術解剖学ノート」

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知ったキッカケはSNSだったか、Amazonのリコメンドだったか忘れましたが、オーム社「ソッカの美術解剖学ノート」は、イラストレーターや絵師、CGなどで人物を描きたいと思っている人に超おススメの書籍です。

先日、本屋へ行く機会があり、美術書の棚で気になっていたこの本を見つけました。

「はじめに」のところで、著者が犬の絵を描く時に「かかと」を意識して描き方を少し変えただけで、周囲から「犬らしくなった!」と言われたエピソードがありました。骨格を少し意識しただけで絵に説得力が出たわけですが、これってふとした観察力なんだな〜とイキナリ引き込まれて、即購入しました。

世間には美術向けに書かれた解剖学の本がたくさん出ています。私も大学に入った時に、必須の教科書として購入しましたし、今も手元に置いてあります。ただ、それらの多くは、医学書のような雰囲気で堅苦しく馴染みにくいものばかりで、なかなか興味を持って開こうという気になりません。

最近では人物イラストの描き方の書籍もたくさん出ていますし、私もムスメに買い与えたものもあります。見本通り、手っ取り早くそれらしく描けるようになり上達は早いですが、ある時点で伸び悩むのではないかと感じています。見本通りには描けますが、いざオリジナルのポーズや角度で描ける技術を身につけるには、もっと根本的な知識が必要です。

本書は美術解剖学であるものの、動物やロボットなど人間以外の身近なものに例えたり、進化の過程でなぜ骨格がそういう形になる必要があったのか、だから描くときにはここを意識しなければならないといったことを、実に理論的に説明してくれます。文章も親しみやすく、説明がとても上手いです。ページをめくるたびに、ナルホドと思わされてばかりです。

絵の練習はとにかく描くことと思いがちですが、それ以外にも「なぜそういう描き方をする必要があるのか」を理屈で理解できると、グッと上達します。特に人体は機能の集まりなので、その仕組みを知ることで絵の描き方が変わってきます。考え方やものの見方が変われば、絵の描き方も変わります。

また、美術解剖学の書籍の多くは、西洋美術の立場で書かれたものが多いですが、本書の著者は韓国人のため、サンプルの絵もアジア人ばかりで参考にしやすいです。

書籍の内容をここで載せるわけにはいかないので、オーム社のサイトでご覧ください。

本書は9年かかって書き上げたとあって、文章量もイラストも豊富で書籍の厚さは3.7cmにもなっています。税込み7,236円は書籍としては高額な部類ですが、それ以上の情報量と満足感が得られるのは間違いありません。

初めにも描きましたが、これから人物を描けるようになりたいと思っている人が、本書からスタートできるとメチャメチャ参考になりますし、既に充分描ける人でも「そうそう、そういうこと!」と納得できる内容です。そもそも人体の仕組みは数百年経っても変化はないので、この一冊あれば充分です。

656ページあるので一気に読み進めるのは難しいですが、人体の気になるパーツだけピックアップして読んでいくのも良いです。買って損はありません!


ソッカの美術解剖学ノート


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