いつも劇場公開の映画は観たいものでも公開から少し落ち着いて人が減った頃に行くのですが、今回は比較的早くに観てきました。映画「JOKER」です。
というのも、半年ほど前に予告編を初めてみた際、鬼気迫る雰囲気に興味を惹かれたからです。
映画としては、バットマンに登場する悪のヒーロージョーカーが誕生する話なので結末は決まっています。予告編に出てくる人の良さそうな男が凶悪犯罪者へ変貌する、社会や周囲の人から酷く傷つけられるストーリーと想像でき、それを観ることに耐えられるかな? と感じたのです。
私はホラー映画が好きで結構観ている方ですが、ホラーではない人間のリアルな部分を描いた、精神面に来る怖さを描く映画には躊躇してしまうのです。モンスターではない人間だけに逆に怖いというか。そんな戸惑いもありつつ、観たい気持ちのほうが強く公開早々に劇場で観てきました。
前置きが長くなりましたが、ネタバレ無しで感想を言うと、良かったです! 見応えがありました! アメコミ、ジョーカーを題材としているものの本質的には完全な社会派ドラマで、貧困や家庭環境など現代社会の問題をリアルに盛り込んでいる大人向け映画です。バットマンも出てきませんからね。ある事実が発覚するところでは、思いがけず涙を流してしまいました。
ふと、以前にTBSでやっていたドキュメンタリー番組「女神の天秤」を思い出しました。この番組は国内外で実際に起きた重大事件の犯人像に迫る内容で、その多くは生まれ育った環境に原因があり、周囲と馴染めず犯罪へ向かう過程が紹介されていて毎回楽しみに観ていました。決して犯罪者を養護する内容ではありませんでしたが、自分と別世界の話ではなく地続きで普通の人が犯罪に突き進む姿を描いているところが「JOKER」と重なりました。
また、映画「羊たちの沈黙」の捜査官のモデルとなった犯罪プロファイリングの書籍「FBI心理分析官」にも通じる部分があります。こちらもチャールズマンソン、ジョンゲイシーなど米国の凶悪犯の過去に迫る内容で、この本を読まれた方には「JOKER」も興味深く観ることができます。
ところで、事前に予告編で感じた恐怖はあったのか? というと思っていたような恐怖とは少し違いましたが、終始眉間にシワが寄っていたように思います。そして、観終わると内容が内容だけにハッピーな気分にはなれません。
私は一人で観ましたが誰かと観て感想を言い合うより、一人で観てジョーカーの思いを噛みしめるほうが良いかもしれません。オススメです!
【映画ポスター】 JOKER ホアキン・フェニックス